まなざしのエクササイズ ─ポートレイト写真を撮るための批評と実践: ロズウェル・アンジェ, 大坂直史


まなざしのエクササイズ ─ポートレイト写真を撮るための批評と実践: ロズウェル・アンジェ, 大坂直史
ポートレイト写真について考察した一冊です。実践的なテクニックの記述は少なそうですが、より芸術的な一枚を撮りたいと思った時に読んでみるとよさそうです。¥ 3,360

「人間を撮る」とはどういうことか?

ポートレイト写真は、写真史の中でも古くから人々の関心を集めてきたジャンルの一つである。本書では、
ポートレイトの特徴である「対象を見る」という行為にスポットを当て、それぞれの写真家が被写体へ向け
た視線を分析していく。また、多くの思想家や哲学者の言葉を交えた解説が展開され、読者は豊富な作品例
を身近に感じながら、技術的知識に加え、批評的・歴史的視点を吸収することができる。

■ 横溝静による解説付
■ 120点におよぶ歴史的ポートレイトを掲載
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アンリ・カルティエ=ブレッソンアウグスト・ザンダーロバート・フランクウィリアム・クライン
ゲルハルト・リヒター、ウタ・バース、ボリス・ミハイロフ、シンディ・シャーマン、ジェフ・ウォール、
リー・フリードランダー、ナン・ゴールディン、ゲイリー・ウィノグランド、リチャード・アヴェドン、
トーマス・ルフ森村泰昌、横溝静……
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この本に掲載されている写真の数々は当然、被写体の存在、つまりレンズの向こう側にいる人物に注意を向けている
という点で一致している。しかし実は、同じくらい重要な要素として、もう一つ別の何かがそこには存在している。
それは写真のわかりやすい主題とは距離を置くものでありながら、最終的にはその写真に命を吹き込む役割を果たす
ものだ。 この何か、写真のなかに息づいている特性とは「誰かが見ている」という行為の感覚であり、写真のなかに
埋め込まれた写真家自身の存在そのものなのだ。